ロシア文化フェスティバル開幕 – ボリショイ・バレエ団日本公演

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現在女性ダンサーとしては世界一と評価の高い「スヴェトラーナ・ザハロワ」*1をプリマ・バレリーナに冠するボリショイ・バレエ団の日本公演が、
ロシアと日本の友好の「ロシア文化フェスティバル」のオープニングとして華やかに幕を開けた。

タイトル「ロシアの季節」http://russianseasons.org/jp/about

この文化交流フェスティバルにより200以上のロシアが誇る世界レベルの公演、コンサート、絵画や美術品の展示イヴェントが開催される。

6月4日、幕開けとなった上野の東京文化会館での「ジゼル」公演には、安倍首相も足を運んだ。
女性の多い会場にはそぐわない強面、かつ長身&屈強なSPに、多くの目ざとい観客の視線が集まった。

ちなみに首相動静を引用するなら;
午後6時33分、東京・上野公園の東京文化会館着。
ロシアのゴロジェツ副首相とともに文化紹介行事「ロシアの季節」開会式に出席し、あいさつ。
ボリショイ・バレエの「ジゼル」を鑑賞。
高村正彦自民党副総裁、岸田文雄外相、世耕弘成ロシア経済分野協力担当相ら同席。
午後9時24分、同所発。

確かにこれだけの要人が参集しているのであれば、あれだけのSPの数にも納得である。
バレエ公演には珍しい安倍首相の開会の「スピーチ付き」であった。

1841年パリ・オペラ座で初演された「ジゼル」は、まさしくバレエ・ブラン(白いバレエ)の代表作である。
(「ラ・シルフィード」、「白鳥の湖」の「三大バレエ・ブラン」=ロマンティック・バレエ)
ドイツの詩人ハイネによって紹介されたオーストリア地方の伝説、未婚のまま死んだ乙女(処女)は
死後に妖精ウィリとなり、森に迷い込んだ男を死ぬまで踊り続けさせる・・・

私は、かってジゼルという作品には、魅力を感じることが出来ず、10年以上ジゼルを避けて、公演を選んでいた時期があった。
それは、私にとっては、あまりにストーリーに現実性がなく、また、感動させてくれるダンサーに出会えなかったからだ。
同じクラシック・バレエの代表作の「眠りの森の美女」や「白鳥の湖」のように、はなからファンタジーという魔法をかけてくれる作品は、
それはそれで楽しいものだ。
ジゼルには、夢の国も王女様も出ては来ないし、華やかで熱いフェッテ等の超絶技巧の見せ場もない、
端的に言えば普通の村娘の悲恋の物語である。
しかし、自分が年を経るごとに、この作品に自分の人生を投影し、対自させてくれる作品と思えるようになった。
もちろん、それにはそれを体現してくれるダンサーがあってこそであるが・・・

「スヴェトラーナ・ザハロワ」は、まさしく全ての思いを体現してくれるダンザーであり、あの霊感に満ちた第二幕には、
もう言葉もでない。
コールド(群舞)の妖精のアンサブルも質が高く、幻想的で悲哀に満ちた言葉すら一切必要のない世界感を見せてくれた。

一言で表せと言えば、それは「あくまでも、美しく、悲しい」現実と幻想の世界。

ボリショイ・バレエ団は、ソビエト崩壊後の低迷と混迷の時代を経て、確実に世界のtop5内にランクされるべきカンパニーに
返り咲いたと言って良いだろう。

連日加計学園問題で厳しい追及の安倍首相にとっては、一瞬の精神の安らぎであったのであろうか、全幕最後までのご鑑賞で、驚かされた。
安倍首相の師匠の小泉元総理は、総理在任中の訪仏の際に、パリ・オペラ座での「眠りの森の美女」を途中退場だったから。
最後の岸田外務大臣からの花束も言葉どうりに花を添えた(笑)。
プーチン氏お気に入りのダンサーへの心遣いは、次世代の総理候補としても磐石だろう。

同月6日には、4日ソワレ公演ジゼル主演の「スヴェトラーナ・ザハロワ」が首相官邸を表敬訪問、
安倍首相は「夢のようなひとときを過ごすことができた。非常に感動した」。
(時事プレスより)

*1
スヴェトラーナ・ザハロワ
1979年6月10日、ウクライナ共和国に誕生。
バレエ歴としては、10歳でウクライナ国立キエフ・バレエ学校に入学、ワレーリヤ・スレーギナに学ぶ、
1995年にワガノワ・バレエ学校に転校し、エレーナ・エフテーエワに師事する。
1996年 マリインスキー劇場バレエに入団し、97年ソリストに昇格、最初のパートナーはゼレンスキー。
(95年、第3回サンクトペテルブルグ国際バレエ・コンクールでワガノワ賞を受賞)
2001年 パリ・オペラ座にデビューし、『ラ・バヤデール』のニキヤ役で大成功を収めた。
2003年 10月にボリショイ劇場バレエに移籍。
夫はヴァイオリニストのヴァディム・ヴィクトロヴィチ・レーピン氏。
現在の女性ダンサーでは、名実ともにtopに君臨する。

受賞歴
2006年 ロシア国家賞 
2008年 ロシア人民芸術家の称号授与

s.m. yoshida
July 16, 2017

第2幕へと続く・・・cont.